京扇子 大西常商店

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扇子の三大産地(特徴編~京扇子~)

みなさん、こんにちは。大西常商店で若女将をしております大西里枝と申します。
タイトルの通り、今日は扇子の三大産地(特徴編~京扇子~)をお送りします。まさに私たちが商っているのが京扇子ですので、ちょっと多めに失礼させていただきます!

季節を先取りする柄

京扇子の魅力を一言でいうと「優美」だと思っています。扇面に広がるのは花鳥風月を中心とした日本の四季が一般的です。四季の中でも特に多いのは「秋の柄」なんです。扇子は夏に使用するのになぜ秋!?という感じですよね。例えば萩や撫子、蜻蛉のような柄は秋の涼しさを連想させて、涼し気に見えます。盛夏に使うものだからこそ、涼を感じてもらえるように秋の柄を多く配置しているようです。最近は気にされる方は少ないので、好きな柄を選んでいただいて大丈夫です!

そういえば、着物もそうですよね。季節をすこし先取りした柄を取り入れることが多いのは日本の伝統的な習慣なのかもしれません。

扇面は「季節の光景の一部」を切り取ったようなものです。柄が全部入り切っていないこともありますが、これもまた京扇子の特徴の一つなのかなと思っています。

琳派の影響が強い

皆さん、俵屋宗達という人物をご存じでしょうか。風神雷神、というと「あれか~」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。日本画のなかでも琳派とよばれる様式で活躍した芸術家です。芸術家というより「絵屋」とよばれる絵画工房を営んでいたんです。扇絵を中心に、紙の上に絵画を描く工房だったんですね。優雅な絵柄が当時の人たちに大ヒットし、これが京扇子の柄の礎となり、今の扇子の画風にも伝わっています。

風神雷神 大短地

骨の数が多くて優美!

他の産地との違いで一番分かりやすいのが、ココ!骨の数が多い、というところです。他の産地よりもたくさん骨を使って扇子を製造しています。(だからほかの産地より京扇子がよい!というわけではありません。骨数が少ない他産地のお扇子も粋で素敵なんです!)
親骨と仲骨をあわせて60本も使用した品も。下の写真が60本の骨がある「六十間」という扇子です。骨が多い=仕立てや加工が難しいので、製造できる数に限りがあります。
骨の数が多い風の起こりが優雅になります。竹のしなりで風をおこすので、それはそれはたおやかな扇ぎ心地になります。

瑞祥 刷毛引き 60間

ちなみに京扇子の骨は主に滋賀県安曇川の扇骨を使用しています。江戸時代から安曇川付近は京扇子の骨を生産する場所だったそうです。

最後に、やはり京扇子は「華やか、優美」といったところが特色なのかなと思っています。他産地の扇子を見ると「これもまた違っていいな~」と思うので、次回はほかの産地を特集してみます!

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